父もその父もその父親たちがいた海に太一がいました。太一はゆめがあり、そのゆめは自分が漁師になる、おとうといっしょに海に出るんだ、というゆめをもっていました
太一はずっと自分のゆめを言いつづけていました。
父は、もぐり漁師でだれももぐれない潮の流れがはやい所にもぐれる父でした。
岩のかげにひそむクエを何日もついていました。父は自慢をせずに言いました。
「海のめぐみだからな。」
不漁の日が続いても父はなにもかわらなかった。
ある日、父は夕方になっても帰らない。空っぽの父の船が瀬で見つかって仲間の漁師が引き潮を待って引いたところを確認して海にもぐると、父はロープを体に巻いたまま水中で事切れていた。ロープのもう一方を見ると、光る緑色の目をしたクエがいました。
中学生を卒業する年、太一は与吉じいさの弟子にしてほしいと頼みに行った、太一はむりやり与吉じいさの弟子になった。太一は釣り針にえさをつけてあがってきた魚の針を抜く仕事ばっかりだった。
与吉じいさは毎日タイを二十匹取ると道具をかたずける。
弟子になって何年も経ったとき与吉じいさが太一に言いました。「自分では気がつかないだろうが、お前は村一番の漁師だよ。太一、ここはお前の海だ。」
太一はいつの間にかくっ強な若者になっていました。
次に父がいなくなった瀬にいかりを下ろしました。クエを追い求めているうちに夢は実現しました。穴の奥に、青い宝石の目を見ました。海底にもりをさし、みうしなわないようにしてもう一度もぐったら同じところに同じ青い目があったひとみは黒いしんじゅのようなひとみだった。刃物のような歯が並んだ灰色のくちびるは、ふくらんでいて大きい。岩そのものがさかなのようだった。体は見えないけど百五十キロは優にこえるくらいだった。
父をやぶったほどの魚かもしれない。太一はこの魚をとらないと村一番の漁師になれないと思っていた。その魚に「おとう、ここにおられたのですか。またあいにきますから」といい太一はこの大魚はこの海のいのちだと思っていました。
6年F,H
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